百姓日記 帰農人

農園の長、アチが書く百姓日記

帰 農 人 2020  4/26 いのち との つきあいは ありがたや

うちのフナちゃんは死なない、月に一度くらい、どろどろのフィルターを洗って、時々水を足すだけ、毎朝の餌やりだけ。いい加減なのに何故か死なない。圭太が掬ってきたのは10年前。メダカも5匹、共に大きく育って立派な容姿に、田んぼから持ってきたドジョウもでかい、とても豆腐容器の中には納まりきらん。2回ほどメダカが数匹浮かんだのみで皆良く生きてる
半月ほど前、冬眠から魚たちが目を覚ました。よく動きだし、餌にも食らいついてくる、大急ぎの出かけ前の30秒の観察は朝の儀式だ。
鶏さんとの濃厚接触は5分、餌と水、卵を採る。年に数度オスが飛び蹴りをかけてくる、その時は思い切り蹴っ飛ばす、または鍋で叩きのめす、死ぬなヤバいと2度ほど思ったが、死なない。
みんなけっこう強い。猫にやられなかった3分の1の生き残りのメスたちは9羽、クリスマス火事事件も乗り越えて誰も死なない、毎日平均6個を産み続け、餌代はほとんどタダ。クズ米と野菜くずと糠にわずかな貝の粉だけだ。週2回、配達先の「松の実保育園」から18㍑の生ごみ専用容器数個に給食残渣が入ってくる、無添加の手作りに徹底してこだわり続けて40年、昆布にイワシ、カツヲだしも多いのでコッコたちは微量要素もたっぷりとっている、日当たりの悪いジメジメしたところで悪いな。もう5分、朝の面倒見の時間とれたら乾いたモミなども投げられば、もっと良い環境になんべとはわかっていても時間が割けないのだ、ごめんといつも思っているが、やつらは至って元気だ、頼もしい限りである。 
ヤギさんはオスのクンテのみ、一時は7匹ほどいたが、仲間の百姓たちに分けて、1匹だけ残したメス「ミミコ」、産まれた時母親の子宮も外にはみ出し、翌日に死んでしまった、後は縁側で牛乳で育てた、朝市でもアイドルになる。
でも坂でヒモに足が絡まって悪い体制のせいでガスを出せず窒息死、牛でも良くある事故、以後出産予定が無いままに正月3日、おおじいさんのイカロスが老衰でクンテが最後のヤギ、つぎは何にしようか、けっこう考える時がある。

帰 農 人 2020  4/19   僕にとって 二人は宝です

今日次男のイザナが彼女と結婚の挨拶に来る予定だったが中止。仕事仲間の家族に発熱者がいるそうで、仕方がない、消毒しながらマスクをして話しするのも嫌だよね。我が家初のお祝い話なので大切にしたい、いつになるだろう。
農業では花と和牛が大打撃、冠婚葬祭の自粛が花に、海外からの客の減少が和牛の消費を激減させた、勿論だれもの財布の紐も固くなった。花は世界的にダメらしくフランスでもダンプに乗せて廃棄していた。レストラン等が主な出荷先のところも大変だろうな、これらの農家への援助はあるのだろうか?
スイスから帰国したオーケストラの音楽家は政府からの援助は厚く、いつもより多い給与を受けたと聞く。 長い付き合いの仲間の音楽家たちも困窮していた。長野の大鹿に暮し全国のエコフェスティバルでトリを務めるヒッピー界の長老的歌い手のボブもひっそりとみどりちゃんと籠っている。日本の代表的シタール奏者の公朗は連れ合いでシンガーの美郷さんの看護を2年前から毎日のように続け、意思の疎通ができない美郷さんの復活を願ってマッサージ等をしてきてかなり体が動くようになってきたが、ここ2ヶ月面会もできないでいる、もとに戻るのを心配していた。
昨年から遠くへのライブ活動も介護の為できなくなり、医療費も大変。両家族とも年金はほとんどなく、本当に質素な生活を続けてきたし、またそれを誇りともしてきた。が、しかしこのコロナ騒ぎで天才音楽家たちが困窮している、彼らは私たちの宝物だ、援助お願いします。「内田ボブ」「伊藤公朗 シタール」でホームページやyoutubeなどでも演奏等が観られます。CDや本の購買と応援の言葉等をお願いします。真澄屋でも売っています、早い方がいい、今すぐに。少額でいいんです、彼らは仙人ですから苦難には強いです、でもけっこう年とったので。

帰 農 人 2020  4/13  まだまだコタツと薪ストーブはありがたい

配給物資を我先にと手を伸ばすシリア難民キャンプの女たちのキリリと開かれた目は美しかった、コロナのせいで配給が激減した家族たちへ必死の思いがあった。
EU自体が修羅場であるが、世界のスラムや難民たちがコロナに感染したら壊滅的悲劇が起こることもとても心配して援助を模索している。
ホステス達など補償はいらぬなどと抜かすアホ政治家たちはさっさと辞めさせよう。自己防衛して助け合う事しかないよ。
医療現場に完全な防護服を早く整えてくれと祈っている、看護師の麻実もエプロンが無くてゴミ袋をエプロン型に切ることで代用しているという。それはいい知恵だね。

昨夜からの雨は降り続き田んぼにはすっかり水が溜まってしまった。予期していたので数日前から大慌てで、畦塗りやあら起こしの作業を続けた。大体何とかなった、これで田植えができる。
でも2日間の晴れの間に水稲の箱苗は水不足でしんなりしていた、慌てて水やりし「ごめんね」数センチのひょろびた苗に謝った、たぶん生き返る。
弁当を持ってトラクターで田に出た土曜日は暖かく北東からの冷たい風も心地よく、霞がかかりうっすらと見える日光の男体山も頂上付近にわずかな雪後を見せ、上空には綿雲がポツリと綺麗。
ヒバリは賑やかにピーチクとさえづりながら遥か上空に上がり姿が見えなくなる。
滑空もせずひたすら羽ばたくのは辛いだろうと考えていると、オオタカが円を描きながら飛び、珍しいシギも見つけた。カラスは穿り出されたカエルを食っている。
なんとものどかだと思われるが、鳥たちの激減に悲しんでいるのだ、サギたちが全く少ない、ツバメもいない。我が農園がある新川高地の半分(120ha)が埋め立てられ、日本最大の流通倉庫群が建設されている。
早くへこたれろとの周りからの視線が痛いが、でももう少しは生き続けてやるぜと良き営農を日々目指すぞ。

帰 農 人 2020  4/06 遺伝子組み換えやる気満々の利権大好き政府 狂気

これほど有機農業が嫌いな政府は世界に少ない。
有機農家の割合は、EUでは10から30%、日本は0.5%、10年後までには3倍に増やすと審議会が提案した。10年後に1,5%、あんまりだ、何たるみみっちさ、また世界に笑われる。 
果樹は輸入品の急増で余っていたので農家の朽ちるのを望んでいたが、衰退の速さに増産への補助金をやっと出し始めた。 
酪農では今まで「規模拡大」が補助金の条件だった、家族経営の牧場が毎年1割ほ百姓を辞めている。
大きく規模拡大を続ける大百姓たちでも、補えなく足りない時も出始めたので、慌てて「拡大」の枠をおいて援助すると,やっと言った.
農機具や施設などの経費の50%は補助が出る様になる、なんとありがたいと思う、他人事ながらも嬉しい 
流山は、開発が10年単位で遅れる「農進地区」は誰も賛成しない、「調整区域」には補助金がおりない、
千葉ではあとは松戸と鎌ヶ谷にも「農進」は無い、本当にみんながうらやましく思う。

札幌のいとこのMちゃんに北海道のコレラの現状を尋ねるべく電話した。「北海道はもうすぐ収束するねぇー、知事は立派だよ、ちゃんとやってる」との穏やかな声に嘘はあるまい、安心している。
施設のお婆ちゃんと面会が出来なくなったので、孫、ひ孫一同を連れ施設の外に待ち、呆け婆ちゃんを窓の所まで連れてきてもらい「ばーちゃん、、げーんーきー」と子供らの大声で対面したという、なんとも「北の国から」その物のシーンである。
このコロナ騒ぎの中、美しい物語もいっぱい産まれているよ、それにどこの国の人も皆同じ地球人の仲間だとの思いが世界に広がった事は間違えない。 
でも昨日秋田のマサの兄貴が死んだ、葬式には来ないでとの要望、まだ、町にはコロナが出てないそうで、千葉は汚染物質、お盆にでも行くしかないな。

帰 農 人 2020  3/29  「うつるんです という使い捨てカメラもあったね」 

カタールの「アルジャジーラ」は中東、アフリカのニュースを流す放送局、先日全部の国のコロナ患者と志望者数を読み上げた、確実に増加している。
チュニジアでは結婚式に英国から来た花婿の父が感染していて、そこから一気に広がったそうだ。百姓をしている分には多くの人達との接触はない、買い物くらいだ、
でもこの所立て続けにインターシップの研修者が来ている、4日間泊まり込みのクマさんは市川に住み、集団感染を起こしたジムは近所だし、仕事場は秋葉原、電車は怖い、もしかしたら感染してるかもなどと心配している
今日の雪の寒さに体が震えるとヤバいかもと思ってしまう、あり得るから怖い。
イタリアでは防護服が足りなく、ゴミ袋をかぶり、ガムテープで巻きながら治療している人も、もうすでに医者が30人も亡くなっているそうだ。店も客を入れず、車の窓越しで販売をする姿も、世界でのんびりしているのは日本だけだ、とても不思議だが、超几帳面さといい加減さが効を奏しているかも。
どの国の報道もコロナ一色だが、BSの「世界のトップニュース」で環境問題関係の2本の映画が取り上げられていた。
「グリーン、ライ エコの嘘」は地球にやさしいと宣伝している企業などがとてつもない環境破壊を繰り返している事を探りに世界を探求するオーストリアカップルがユーモラスに演じている。
カリフォルニアで様々な動植物を駆使して豊かな自然農園をいくつもの挫折を乗り越えて築き上げる夫婦の物語で「ビックリトルファーム 理想の暮らし方」。
どちらかは公開中で他方もすぐに公開予定とのこと、観てみたいものだ。
NHKだから「トップニュース」も企業や政府には不利な報道を控えるだろうと思っていたが、退職も辞さず頑張っている報道人もいるのだなと、ちょっと感動。

帰 農 人 2020  3/21 椿もきれい、オオタカものびやかに

「わさびレタスありますか?」昼飯をつくっていたら、電話があった。
いつも運河のイベント等で買っていたみたいで、全ての行事が中止になり「どこ行けば買えますか」と片言の日本語で聞いてくる
「配達して」「いやだ、初石駅そばで買えるよ」、その20分後「いまパチンコ屋さんの所」「その先の踏切をまっすぐ」、また10分後「あれとこれで620円、あってます?」どうやら無人直直売所の値札が読めないらしい、翌朝また電話があった「夕べ電話しました?」「えっ、コジじゃないよね、番号間違ったかな?」、実は昨夜大きな報告が2つあり、同級生で店の最初のスタッフだったコジが見つかったとの連絡が弟の茂からあった、13日のNスタで俺と茂を見てメールが来たという、彼女は隠れるのが得意で、消息を一切消していた、ひょっとしたら死んでんのかもと本気で恐れていた、教えてもらった番号に電話しても繋がらなかった、翌朝電話がありちょっと混乱した
「あなた誰ですか」「俺は百姓だけど」「ああ、おいしかったよ、私間違ったみたい、ごめんなさい」、とても頭の回転がいい人だろう、会話の合間にその人が見えた。面白かった、いつか顔を合わせるのが楽しみ。
コジちゃんからはその後電話があった、はっきりした太い声で、繊細な感性も感じる、おなじままだ。隠れるのが得意で忍者みたいなやつ、絶滅危惧種を発見した感じ、身体が良くないらしい、「食制限はないの、でも貧乏で安い焼酎とかしか飲めなくて困っている」「わかった、ドブロクを持っていく、どんなまずい酒や発砲酒などにも少し入れたら、生きた酒になるよ」、たぶん最高のプレゼント。  
二つ目の報告はと、マサが。「イザちゃん結婚するって、むこうの両親に会いに行くって」、きたー、初めての祝い話。

帰 農 人 2020  3/17  資本主義を蹴飛ばしたコロナはエライ

歴史の中で知っている「戒厳令」が世界中で次々と発せられていく様をBSの海外の報道で日々びっくりしながら注視している
EUなどにに比べ「我が国は封じ込めに成功している」との自画自賛の安部さんの演説はあまりにも他国に無神経で、また科学技術的根拠を持たない説明であきれた。多くの若者も今回は感心を示し、しっかり聞いてがっかりしている、
若者の自民離れは確実に進み、世界からは軽視され続ける、それでもしっかりしてもらわなければ困る、ちゃんとやれ総理大臣。
昼飯前にはあなたの幸せな一日を毎日祈り続けているよ、勿論トランプさんなども。
水稲の種籾を水に浸し、毎日水を変え一〇日になる、発芽抑制物質を流し去る為だ、明日からは水を切り、25℃位の熱を加えると2,3日で「初夏がきたぞー」と一気にに発芽してくる。ちょびっとだけ全体にむらなく発芽させるように気を配る、出過ぎると、芽を折り、多い根が種蒔き時のムラを多くする。いい時に乾かして種まきを待つ、その時に冷蔵庫に入れると根や芽が強くなる、でも最近は忙しさにかまけてやっていない、さて今年は。
植物は過保護に育てると当然ひ弱になる、苗を育てる時は暖かく風のないハウスの中がほとんどだ、肥料分がたっぷりで水気も多い中ですくすくとアホーの様に育つ、換気をこまめにし、水気もぎりぎりにたもち、水やりの時は多少強めの勢いで苗たちをなぎ倒す、すると根も茎も強くなる、水稲などは丸太を転がしたり、踏んづけたりもする。定植初期には肥料を少な目にし、適宜追肥をすると根の強くなるが、初期生育がとても大切なので、極端な肥料切れや水分不足、不適切な温度管理により、全くダメになる事も多い。新型コロナ騒ぎも同じではないかと思う、人類の知性の生長に必要な贈り物だ。