百姓日記 帰農人

農園の長、アチが書く百姓日記

帰 農 人 2020  9/26  原子力も終了しよう 15年後

帰 農 人 2020  9/26

   原子力も終了しよう 15年後

 台風の雨がふる、心配していた豪雨はなく、しのつく雨が続く。
これならば天候回復後にすぐに稲刈りを再開できる、その為に乾燥機に満載されたモミを籾摺りし空けなければならない。マコトと二人気合いを入れて取り掛かる。
玄米にすられた米は袋に入り、口をヒモで閉めるのだが、しっかり紙の袋の口を折りたたまないとブカブカの状態になり、上手くうず高く積み上げることが出来ない。時には崩れてきて、毎年数人が死んでいる。マコトの仕事ぶりは見事だった、織り込んでいく指先には常に力が入り、高く貯蔵する作業も受け取る俺が楽に詰めるよう頭の上まで持ち上げてくれた。頼もしくなったもんだ。
複数で作業し最大の効率を上げるには高度な知恵が必要だ。今年はコロナの影響で多くの実習生が来ている。現場監督のマコトはみんなを指揮しなければならない、面倒だが最近は楽しんでいる様子も見え。
、一皮むけたかな、夕べはそのこと思い幸せな酒を飲んだ。

 15年後に、米国カリフォルニア州ではガソリン、デーゼルの新車の販売を禁止すると宣言した。ここ100年の石油石炭社会の収束が高らかに世界に向けて宣言された。国内の1割の、アメリカいち、車を買うこの州の、きっちりと工程表が示された動向に世界は打ち震えた。素晴らしいことだと思う
俺にとっては耳が痛い。 こちとら、有機野菜の価格破壊とスタッフの低給与の改善を求め、機械や資材を積極的に投入していきたい。でも古い機械等を安く受け取る状態が続く。当然修理費も多額、燃費は悪く大気を汚す。ガソリンを食う3台の軽トラを電動に改造する事を以前から考えている、やっている連中がすでにいる。たぶん今の技術革新で新たな方法が開発されているはず、少し余裕を作りその方面も調べたいな、たぶんそんな難しくもないはず
でも、農園での魂の躍動とみんなの笑顔が先決だ。まだまだ、全然まだまだ、へっぽこな野菜も多いし、給与も安い、もっと精進せんと。
昨日は良い出来の里芋が掘れた、つぎは黒米だ。

帰 農 人 2020  9/18  秋になると 野菜の病気が減ってきた

 昼間は米の乾燥機が唸りを上げている、時には2台同時に。
隣の家には多少うるさいし、モミの屑が大量に漂っている。この春に隣の仲間のサエさん家族が引っ越し、また大家の兄ちゃんが帰ってきた。
以前も一人で住んでいて消防署に勤めていた。(その後定年を機に引っ越したので、一時的に貸し出していたわけです) そのときも猫も外で飼っていた、うちのネコたちはその餌場でポリポリの味を知り、ねこまんまを嫌がってしまったため、今のミーコは僕の手を離れ、マサがあげるポリポリに移行してしまった。(そのもっと以前を言えばミーコに高級ポリポリをあげていたのは末息子、カイトなのだけど。) 時々餌やりをするが、どうもポリポリで育てていくのは、野生からどんどん遠ざかっていってしまう、でもネコにとってはどうでもいい話しですよね。
でもそのミーコがベンツを追い払ってくれました、パチパチ。
隣の兄さんは退職金で買った純白のベンツを置くため家の壁を壊して駐車出来るようにしましたが、朝起きて外に出るとそばでベンツがこっちに顔を向けている。
もったいないの代表格と日々顔を突き合わすのはごめんだと悩んでいたら、3日目の早朝にそのボンネットの上のミイを見た、ヤバい、傷がつく、さてどうしましょ。 
ニワトリがうるさいし、ウンコすると苦情を言ってきたので、爺さんオンコッコはその夜、外からみんなの小屋の中に放り込まれて、若オスにいたぶられて死んだ。
前に猫を飼っていたことから、駒木台部落は猫の解放区だということも知っているだろう、うちのに文句を言っても、他のネコたちもウロウロしているのをたぶん見た、その後は急用以外にとめなくなった。 
ほとんど家で一人で過ごすあんちゃんは最初、超よそよそしかった。妹さんがすみませーんと時々入ってくる、幾つかモメたが、壊したブロック塀の屑を駐車場用にとみんな片づけてから、急に打ち解けはじめた、話もよくするようになった、新米を騒音のお詫びにと2㎏ほど渡そうか、やっぱり近所とは仲良くならにやぁいかん、うまくいくように模索しなくては、こんなことでも心がければ、世界の幸せにつながる。
家族、親族、仲間、知り合い、その関係性は大切、でも今の世界はそこを破壊し続けている。

帰 農 人 2020  9/14 世界中の時空がよじれてきた 面白い

帰 農 人 2020  9/14
 世界中の時空がよじれてきた 面白い

2か月ぶりだろうか家の窓を閉めた。真夏はまずは玄関から家中の全部の窓を昼も夜も開けっ放しにしていたが、今夜は軽く寒さを感じる。
数日前より稲刈りを始めたが、周りは9割方終っていていて静かだ。今年は梅雨にしっかり雨が降り日照が少なかったので、茎が長くなり、別名コケヒカリというコシヒカリは見事にべったり倒れている、ゆっくり丁寧に刈り取れば何とかなる、ただ大雨は絶対来るなと祈るだけ。
モミから芽が出てしまう。

月、火、水の夕方BSで「シルクロード」が再放送されている。
40年前の砂漠の民の生活の様子がたまらなく、感動している。自動車はバスとトラックが少し、あとは皆、馬、ロバ、ラクダや牛などに荷を引かせ、バイクのように乗り、子どもや女などを含めみんな、幼児から老人まで動物たちのの扱いにたけている
殺し方も食べ方もみんな究極のプロだ、血は貴重な食料だ、首を切ったりはしない、胸を切り手を差し込み心臓をひねり秒殺、骨の隅々まで丁寧に幼児もうまく食べる。 
涙が出るほどの場面がいっぱい、録画を何度も見ている。多くの民族が、音楽を愛し、演奏も、舞いも歌も異様に長く熱く、熟練の撮影スタッフも「これは踊り攻撃だ」と嘆いているほどの熱量だ。
定住する事が出来ない砂漠や草原で5千年も生き延びてきた民族が、千年前とほとんど変わらない生活を続けていた新疆ウイグル自治区は今、民族浄化の最終段階に入っている。
民俗の誇りと文化を忘れさせ、中華民族と同化するように、我が王朝のしもべ【奴隷】になれと、世界からの非難にも全く知らん顔で、たった40年間で生活様式が様変わりし、誠にびっくり。
放牧から安定の農業へ誘導し確かに生活は少しずつ楽になり、それなりに従属化していく、何十年もかけて。
5千年間、世界最大の地域を統治続けた歴史は重い。必死に辺境を守り抜いていたのだが、国家予算も軍備もアメリカに追いつけそう、鼻息は荒い
どうか頼む、考え直してくれと、毎日昼飯前に祈る。
菅さんの初首相会見で久々に生の親分の声を聞けて実に新鮮であった。破壊の神シバよ、はやくあいつにとりついてくれ。

帰 農 人 2020  9/06  虫の声と雨だれの音 最高の音楽

帰 農 人 2020  9/06
   虫の声と雨だれの音 最高の音楽

 8月1日に酷暑始まった酷暑は31日にピタリと終わった、実に見事、おかげで白菜やブロッコリーなどの定植が進み、後れを一気に解消することが出来た。葉物たちも雨ですぐに芽をだした、これから春まで続く葉物やカブたちのリレー栽培の第一走者、これはいつも中々上手く育たない、毎年「今年こそ」である。
でもこの酷暑を昼間も休まずマコトと共に熱中症にもならずよく乗り越えられたなと本当に感謝、途中くたびれて仕事に出たくない気持ちは何度もあったけどね。 

ここ2日間、草の生え茂った所をガンガン除草した。半ズボンとTシャツの中に小さい虫が無数に入り込み、あちこち痛い、風呂に入ると傷だらけだ
でもすぐに治る免疫力は高いのだろう、蚊が多い場所での作業もさほど気にならなくなった、血を吸っている蚊を見つけるとそこの筋肉を固め、口先が抜けないようにしはたくのが楽しみになっている
開け放しの家の中には毎日数匹のハエが飛び交う。裸の身体の上を歩かれるのは嫌なのでハエ叩きで潰す。この技はマサが上手い。  
この前久しぶりにアオダイショウが家の中にいた、20年ぶりであろうか。幼いくるみが「台所でヘビが2匹ぐるぐるしているよ」と見つけたのを思い出す、翌日は風呂場のタイルの上でぐるぐるしていたっけ。
幸いにこの家の周りには奇跡的に自然が残されている。
先日までは隣りに家を借りていた家族は大の動物好きで、ニワトリの声も気にせず、放し飼いにしてあった年寄のオスにも名をつけエサなどくれていた、
でもこの春引っ越し家主の兄さんが住み始めた、「鶏がうるさいし、糞をする」と文句を言われたので小屋に入れた、そこには若いオスがいて徹底的に痛めつけられるのだ、
しばらくの間は、奥の高い所にい続けた、さすがに腹を減らし餌やりの時にくらいついてきたが、すぐに血まみれにされる、ここ数日ボスからの攻撃も少なくなったようで、餌を食べている、さてこの後どうなるのだろう
気むずかしそうな家主の兄さんとの会話も多くなり、少し打ち解けてきた、でも少しゴキブリでも大騒ぎしているし、新車の白いベンツ、これも手ごわいぞ。

帰 農 人 2020  8/30  真っ裸に扇風機、とても幸せな時間

帰 農 人 2020  8/30 
   真っ裸に扇風機、とても幸せな時間

酷暑が続く、野菜たちも大変だが、日々それなりに収穫がありありがたい。でもこの状態では秋作最初に定植する芽キャベツブロッコリーを植えることが出来ない、苗は大きく成っている。早く雨よ降れ、台風でもいいぞ。
そんな中2日間の初めての農業体験に来た30歳のK君は炎天下でもがいていた。明日ジャパネット高田を辞め、農業関係の会社に入り、来春からは妻の故郷である青森の八戸で百姓を始める決意をした。NHKで働く妻も年明けには辞められそうだとのこと、田舎で多くの子供らとエコな持続可能な生活を夢見ている話を聞いてみると。
かなり社会的状況は勉強しているし、真面目で僕を変えてくれたのは妻であると、いいカップルである。
八戸には以前研修に来たマッキ―が百姓をしている、マサがNSSでつながっていたので早速連絡をとったら、マーキーも大喜び、隣村で本当にすぐ近くだそうだ、これは明らか過ぎる導きだ。
親戚が突然増えた感覚、若い人たちを田舎に送り出すのは非常に気持ちが良い、その為に真澄屋も農園もあるのだから。

11年目を迎える今年の竹細工は中止です。津波による原発爆発後の汚染騒ぎで中止したことは過去にある。
今回はそれとはまるで違う状況で、全世界の鎖国状態というパニックの中様子を見守る事しかできない。世界の軍事情勢も感染の影響なのか、内戦も少し穏やか、中国だけが元気なのは困ったもんだ。

ミカンの産地である愛媛はミカン農家が廃業する中、残った農家は規模拡大し生産を続けている。だから季節労働者は絶対必要である、これは国内の農業産地でどこでも同じである。
県は労働者へのPCR検査と待機費用などの予算を出した、でも関東や近畿などからの人は認めないとのこと。それでは困ると農家も意見を出している、ともかく「密な地域」の人への嫌われ方は凄い
今はそれでいいと思う、「密」な地域に住む人はその思いをかみしめればいいだけの事だ、価値観の変化はこの後世界をどう動かすかとても楽しみだ、ベラルーシの市民革命は是非成功してほしいと日々願う。

帰 農 人 2020  8/17 なんか一気に農の世界へ 人が集まり始めた 

帰 農 人 2020  8/17         
   なんか一気に農の世界へ 人が集まり始めた

 「農業体験は他でもできますが、この3日間で農への心得を教わりました」とギノワンを送った駅の場で言われた。 
先日農業実習に来ていた通称「ギノワン」は宜野湾の教師の両親のもと産まれ東京の大学へ。のち俳優になるため小劇団の世界に入り、大学を退学してから20年芝居の世界に専念、40にして農を志すようだ。真澄農園での農業体験後、水戸の農業訓練所に10月入所し、そこで1年間学び、野に放たれる。昨今、学ぶ間も、農家になった後も、農を目指すものに対しては国から手厚い補助金が拡充されてきた、それでも新規就農者の数は圧倒的に足りない。毎年の新人は5,6万人程度で半分以上が60才以上だ、定年後の息子たちが加わる。
雇用補助金も50才までが条件だったが、今年から50才以上の人達への農業苦訓練に補助金がつくことになったと連絡が届いた。半年間研修すると最大120万円くれるとのこと、他のコロナ関係の予算同様、簡単な審査でできるであろう、
以前ナイスガイのジャマイカの55才が求職してきたが、都内から自転車で通うという彼に補助金もなく彼の家族を補完する給与は出せない、と、断ったそんな俺には今、関係ないが、喜んでいる地方の人は沢山いそうだ、   

農水産省は今最大の迷いの中にある、ともかく大企業の邪魔するな、と、農産物の輸入はどんどんやれ、後の面倒を頼むよとの仕事の中、マスク不足の中、農産物の輸入危機の世論が多く、この位の予算で黙らせろ、かなりいい加減な申請書で補助金がもらえるのがあちこちにある。
150万円の機械や設備に75%の補助が出る、これはいただきたい。
開発しやすい流山は全ての調整区域と認定しているために農家への補助金は少ないのでせっかくならば、中古ぶっこれ機械ばかりを使っている我が農場へピカピカの立派な機械を取り入れたい。「人の密を防ぐ合理的な機械などの導入」などの条件は簡単にこなせるとは思うが、機械屋に行って見積もりなどもらっていくなどの作業が必要になる。ともかく毎日時間がない、足りない、、行政書類の書き込みはいつも遅れている、半年分の源泉徴収やら、エコな団体とかへの会費とか早く送金しなくては、と毎日せかせか、何とか仕事をこなし、明日は楽になるかもと、希望の時に故障などの連絡が、いつも同じ。

帰 農 人 2020  8/09 金持ちたちの金の分配が政治家の仕事だ   

帰 農 人 2020  8/09         
   金持ちたちの金の分配が政治家の仕事だ

 梅雨明け10日。やっと体が慣れてきたが、午後から風が変わった、夕刻になっても生温かな南風がねっとり体を包む。
マサが友人と夏恒例の九十九里での砂浴に行った。
今夜は一人、帰ってくるなり扇風機全開、ステテコも脱ぎ全裸、これしかない。でも、ビールの後はドブと焼酎のブレンドのお湯割りがおいしい、まだ本格的な夏バテはしていないのだろう。
参ってくると、氷を入れた牛乳割りになる、まだ麦茶も作っておらん、梅雨明けすぐに、ハウスに遮光資材を散布するのだが、ずうっーと降っていて、ハイ梅雨明けでは様々な仕事が間にあわなく、トマトは枯れた、せっかく夏を超える手間をしてきて、小さな実もいつになくついていたが、仕方ない。
今、冬用のブロッコリー芽キャベツ、白菜などの苗を育てているが、毎日の水やりのタイミングを一つ間違えると1日で全滅する、多品種を育てる以上毎日何かに追われている、今はもう10日遅れているアズキを播きたい、明日当たりはできるかな、
遅いのでできるかはわからない、黒豆は完全に遅れて種も廃棄、お盆前には田畑や道端の草刈りもしておきたい、周りの農家も同じ思いなのに、除草剤を多用する人たちが増えた、黄色く枯れた草の道をご先祖様たちは悲しむのではないのだろうか
大企業が金を吸いつくす経済が壊れ、草一本、虫一匹の価値を慈しむ人々の価値観の中で生活したいな。

 昨日いとこの49日があり、10時に間に合うように朝早くから直売所などの準備を急ぎ、ヤギをだし、ハウスの前で礼服に着替えお寺に直行、もう、ももしきやステテコとうもはいていないので直接ズボンをはいたらゆるゆるで落ちる、抑えながら到着したら、お経は終わる寸前、焼香をせかされ何とか間に合った。
納骨後の会食で残された息子が、なんか布団屋を継ぎたいような事をほのめかしているが、誰もが受け取らず、うち直しの機械の処分なの話しばかり、あの息子、ひょっとしたら、新しい布団屋を作りなおせるかもしれない、でも誰もが否定する、でも、でも、でも、なんか芽はないか。