百姓日記 帰農人

農園の長、アチが書く百姓日記

帰 農 人 2020  12/06 コロナよりも原発は、はるかに問題だ

帰 農 人 2020  12/06
 コロナよりも原発は、はるかに問題だ

農業新聞の一面のコラムに中学生の頃大好きだった吉田拓郎の事が書いてあったのでびっくり。
旅人詩人岡本おさみと何本かの旅の曲を出したとの話だった。一番のヒットは「えりも岬」、そして「旅の宿」、ゆかたの君はススキのかんざし~だ、旅先からの電話で書き写すその詞に、拓郎は体が震えたそうだ。情緒ある旅を楽しめない今を記事が嘆いている、そう長くないよ、戦時中の5年に比べれば。

 福井の大飯原発の差し止め訴訟で裁判所は活断層上の原発は危険だとの判決を下した。爆発した福島第一と同様無理をを承知で建設したのだから早く解体した方が良いと司法は言うが、関電と国は控訴するそうだ。
この所、脱炭素社会に向けての政策が出されているが国はどうしても原発を棄てようとしない。「核燃料リサイクル」の夢は「もんじゅ」の破綻し終焉したのに、高純度のプルトニウムを製造する為に、東海村にある古い「常陽」を再稼働しようとしている。
どうしても核弾頭ミサイルを持ち、国連の常任理事国にもぐり込みたいのだ。米国も日本に核を持たせて、中国、北朝鮮ににらみを利かせたいと舵を切ったのは明白。
その為には「改憲」が絶対条件、核を持てば「イージスアショア」などなくても良い。中曽根は言った、日本は不沈空母。

 仕事場や家庭での苦悩を聞くことが続く。先週山でアドバイスされた「変化を楽しんだら」という言葉を早速友人に送れた。一つの良き出会いは次につながっていく連鎖が面白い。H子さんには話した「黒の舟歌」を送ろう、
「えんやコラ今夜も船を出す」毎日届きそうにない相手に船をこぐしかないよ。また農園に遊びに来てください。でも色んな人が来て頭の中も滅茶苦茶だ。 有機農業を週末にしたいと神奈川のインド人家族が来た、流山は遠いので神奈川の有機農園を紹介するよと安請け合い、これが中々面倒で落ち着かない。 暮れの一日一日が過ぎていく、薪の準備と便所掃除、あと色々、でもともかく今年は腰が重い、あきらめが肝心、まずはドブロクを仕込もう。

帰 農 人 2020  11/29 奥多摩に ごおっーと風が吹いた

帰 農 人 2020  11/29
  奥多摩に ごおっーと風が吹いた

「変化を楽しんだら」と、アベちゃんの言葉、心に沁みた。今回の山行はこの言葉を聞くために会ったみたいだ。 
沢伝いの岩登りと急登を何とか登り終え、棒ノ折山山頂の絶景を堪能し下山を始めた時、先を行く麻実とくるみの「なんでー」と絶叫が聞こえた。くるみが最も敬愛しているアベ女史と予期せず偶然に出会ったのである。
下山後、温泉に入り飯能駅まで送る時間は天国の様だった。

以前から聞いていたが遠い先のことだと思っていた噂が急に現実味帯びてきた。ハウスを中心とする我が農園の中核部分の土地開発の話が夏ごろから急展開し始めたのだ。2,3年後に、コツコツ立てた7棟のハウスも、掘った井戸や、めぐらせた水道配管なども、糠床を作るように育んだ田畑の大部分が亡くなる現実にここ数ヶ月、心は重く沈んでいた。 

登り始めた時「気分転換になればいいね」とくるみ、気にかけてくれていた。娘二人の会話と歌声は山行中響いていた、ともかく明るいし、今朝握ってきたおにぎりと沢庵もとても美味しい。紅葉を期待していたが、12月を数日に控え葉は全て落ち、落ち葉の道になっていた。尾根を境に南は針葉樹、北は枝だけの広葉樹の景色は見事、根っこだらけの道を踏みしめるのも面白い。下山途中道を間違え、すべりやすい細道に、麻実の悲鳴が数度、これは違うと、尾根を目指してよじ登ったら山道を発見、みんなを呼んだ。
その直後アベちゃんは後ろから追いついてきた。なんともまぁ、不思議な神遊び、その後は素敵な会話が続いていた。

 こぎれいな温泉に入る。風呂に入るのは半月ぶり、靴下を脱ぐと指の間から黒いごみの塊が落ちる。そばで施設の人が必死に床拭きをしている、コロナ予防で、窓を開けたり、清掃したり、検温をしたり大変だ。見つからないように垢の塊をロッカーの隅に手で払う。股引やTシャツは裏返して着てドライヤーなるものを数年ぶりに使う。抜け毛が沢山洗面台に落ちる、やはり隣りで洗面台を清掃しているので、慌てて抜け毛を流した。

風呂後のビールを太史と飲んだ、美味かった。 
なるようになれ、焦ってもしょうがない、でも準備は怠りなく、日々を大切に擦るだけだ、肩こりよ飛べ。

帰 農 人 2020  11/22

帰 農 人 2020  11/22
  4度目の正直、天気よ たのむ 

ここ半月オンボロ軽トラ2台の調子が悪く泣かされ続けた。1台は朝のエンジンのかかりが悪く、毎朝他の車で引っ張ってエンジンを始動していた。修理屋に出して戻ってきたが、3日の内に元どうりに、もう一台でしのいでいたが車検で排ガスで引っかかり、修理屋に出すが調整等では治らないし、いくらかかるかわからないそうでとりあえず引き上げてきた。
すでに修繕費に11万かかって2台ともまともに使えないことに深く落ち込む。 
朝のかかりが悪い方のプラグの交換を修理屋に相談したら、まず排ガスを調べなければ交換しても意味がないかもとの事、やる価値はあると判断され、工具を借り俺が交換し、プラグの支払いに行くと、社長は代金を受け取らなかった。みんな大変悪がっている、「さっき排ガスを計ったらよかったので、こっちのキャブ(燃料と空気の混合機)をむこうに取り付けたら?」「いいかも、そう難しくもないですよ」とのこと、すぐに挑戦。 10本位のホースやコードがついていて、取り外しには苦労した、20年くっついていたものは中々外れない、きっと専用の工具があるんだろうね破損したホースなどを引っ張ってつけたり、いつもの農機具の修理の感覚が生きてエンジンは動いた、すぐに車検場に、通った。もう一台に問題のキャブを取り付けたら、調子が良くなり、毎朝すんなりエンジンは始動する。
ここ5ヵ間2台は何事もなかったように調子が良い。あの悪夢からの解放に、俺とマコトは「これ、本当?」と煙にまかれたような気分を感じている。捨てる神、拾う神だ。

研修生の太史は、「父の夢枕に聖徳太子が出てきたから名付けられた」とのこと。「子」では女みたいだから「史」。太史は小まめによく働く、大掃除を始めたマサに手伝わされて障子の張り替えを連日やらされた。毎日掃除機もかけてくれるし、夕飯も自分で作る。数日
前にクルミから「山登ろうよ」との誘い、今度の土曜日飯能の近くの「棒の折れ山」に決定、
太史も登山部だった、行というので誘ったらという、麻実も参加、お願い雨降らないで。

帰 農 人 2020  11/16 11月の花火

帰 農 人 2020  11/16
11月の花火 

昨夜6時過ぎ、爆発音が聞こえた。なんだろうとマサと話していると、しばらくしてまた一つ、そして続いた。花火だ。
外に出てみると丁度郵便局の上に上がっていた、青田当たりの自治会が盆踊りの時上げる花火を11月に上げている。
30分以上続き、最後は連発。近所の家族や子供たちの叫びも聞こえる、みんな周りに迷惑をかけないようにひっそりと暮らしているが、そんなのつまらない、もっと賑やかな世界がいいな。この花火は今の状況の中で嬉しい演出だね、

今年は無人直売所での盗難が多い、仕方のないのだと思う。これでもか、これでもかとコロナが収まらない。でもずっとつきあい続けて下さったお客さんたちには少しでも良い野菜を渡し続けたい、できる事はそれくらいだ、我慢の時だ。

ここ数年、薪を貰っている植木屋の兄ちゃんが自分の家のストーブ用に貯めていた古い薪があるというのでもらった。確かに古く、油は抜け、スカスカした薪は雨による水分も多い、軽トラ何台分かのその薪を今使っている。燃えにくく火力も弱い、でも工夫すればなんとか燃える、まだ寒くならない今のうちに使ってしまおう。ともかく俺の周りにはオンボロが集まりやすい。それを工夫して生活するのは好きだ。
昨日も機械の一部が取れてしまい、すぐに溶接して直した。最近溶接にはまっている、まだまだへたくそだがそのうち腕も上がるだろう、これから玉ねぎの定植が始まる、畝をたてマルチを設置してくれるこのマルチャーが活躍する、修理した部分がまた取れなければ万々歳だ、楽しみ。

昨日から農業を目指す26歳の太子君が1ヶ月の研修に入った、聖徳太子の太史君だって。
「僕、手際が悪いんです」と自ら白状する素直さがいい、料理もできそうだ、唐揚げを作らせたがやはり時間がかかる、まあいいか、工学出なので機械は強そうだ。登山も好きと言うから話も合う、さて今日は何の仕事をしてもらおうかな。

帰 農 人 2020  11/02 生姜が枯れてきた もうすぐ霜がおりる 

帰 農 人 2020  11/02
 生姜が枯れてきた もうすぐ霜がおりる   

ここひと月、フランスのマクロンさんがかっこよく出まくっている、まるで映画のように演出されている。
大統領は役者だ、心をこめて家族に伝えるように優しい言葉で説明をし、ウイルスに負けている事も認め、新たに実施されるロックダウンを丁寧に説明する。死を家族と共に迎えられるように漫然の準備をする。
祭の時は外出を許可するなどカメラに向かって一時も目をそらさず10分ほど話していた。
首を切られた先生はソルボンヌ大学に設置された荘厳でおしゃれな会場で国葬にされ、表現の自由に最大の敬意をはらっていた。その後に教会で3人が切られた後も宗教と表現の自由を力を込めて語りかけた。
4年間誘拐されて母国に帰ってきたマリでの慈善事業家がタラップを降り家族たちに迎えられるすぐそばでマクロンはそっと微笑んでいた、出しゃばらないのがすがすがしい。
EUでのコロナの再急増には驚いた、どの国も政策の落ち度を素直に認め、新たな自粛政策に入った。みんな大変だが助け合っている。それに比べ米国は滅茶苦茶だ。大統領も言うことを聞かないが、国民も自由すぎる輩が多い、それでもけっこうトランプを支持している国民も多い、国民の13%が地球は丸くなく平だと信じているのだから凄い。
戦争をしなかったとの評価もある、それはあるかも。
なんか最近トランプが可愛く見えてきた、ちょっと困った。数日後が楽しみ。


今年は農業インターシップの研修生がやたらと多い。
コロナで受け入れ拒否の農園も多いそうだが、真剣に農的生活を目指す人が申し込んでくるので断れないのだ。
海外協力隊の事務局で働く女性は先週。昨日からは大手ゼノコンの現場監督の56才の方が来ている。彼は2年後に早期退職し長野に移住し百姓になる準備をしている。2反の畑つき宅地に小さな家を建てる計画を進めている。移住先は3年前から探していたそうだ。連れ合いからの様々な要求を呑んでいくことに苦労を重ねている、その中に農業には金かけないとの事項もあると聞く。
それならいっぱい教える事がある。まかしてくれ、自信がある。

帰 農 人 2020  10/27 祈って精進 それしかないか

帰 農 人 2020  10/27
   祈って精進 それしかないか

 雲一つないあっぱれな秋空は久しぶり、木々も街も美しい、そんな日曜日久々に店の2階で公朗のシタールの演奏を聞いた。
インドの山奥で5年始業し、その後35年演奏し続けたシタールの音は一音一音に心がこもり大地天と交響し合う。
インド音楽の奥深さは凄いんや、やればやるほど楽しい」と語る公朗だが「心がまったく日本晴れになることはない、半分は常に沈んでいる」と寝たきりの妻、美郷さんを思うという。
面会もできない毎日、数々の奇跡を見せてくれた「養生のラーガ」を施設の病室に向けて演奏を続ける。同じ時刻に知り合いのヨガ教室をしている女性もマントラ(お経)を百八回唱えてくれているようだ。彼女は癌の手術の前日にこのマントラを唱えてたら完全に癌が消えた奇跡を体験した。公朗の演奏を聴いて様々な病気が改善した人が多くいる、でも「自分の腰痛には全くきかん」そうだ。 
美郷さんが元気なころ、幾つものお寺に連絡を取りコンサート依頼した。
住職の顔写真をよく眺め、この人は良いと思うと大体あたるそうだ。薄く残った長髪も真っ白な六七才、苦難と貧乏の中毎日祈りの生活を続けている。贅沢もいう
「東京での演奏会はありがたいけど、半分気が引ける」とのこと。ともあれ祈り続ける聖者の演奏を聞けた事はありがたかった。

今年は春に水稲の育苗を失敗して田植えが遅れ、稲刈りも遅れた。
先日最後の稲刈りをした黒米が昨日ようやく干し上がり、脱穀をした今日籾摺りをすれば明日からは出荷できる、共に遅れた玄米餅も今日から出荷できる、共に皆から待ち焦がれていたものだ。
味噌はもう一月位かな、またかき回してみよう。
後はこの秋大失敗しほぼ一ヶ月分のカブ大根や葉物大河虫たち食われて毎日数少ない野菜たちを情けなく出荷する情けない日々が続いている。こんなことは初めてだ。次の野菜たちの成長を祈るように毎日眺めている。そんな中で来年の野菜たちの種を播き続けすこしでも実りのあるように心を叱咤し、夜の酒量は多くなる、中々酔えないね。

帰 農 人 2020  10/18 10月25日(日)はインド音楽演奏会

帰 農 人 2020  10/18
   10月25日(日)はインド音楽演奏会

 「でも、なんでみんな生き続けられるの?」、寝たきりのミサトさんの事を支え続けている公朗から電話があったので聞いた。
「機能は退化するけど、生かす技術はある。流動食は喉に詰まらせる可能性もあるから、点滴だけに切り替えます。嫌なら他の病院に!と脅かせられたんや。えらく悩んだけど、コロナ騒ぎで転院もできなくなり、そのまま流動食が継続。コロナ様様や、でも会えへん」
 「半年ぶりのライブが東京であるんだけど」との電話。金、土、日は空いてる?店で演奏してよという声掛けに快諾をもらい店の二階でコンサートをすることになりました。コロナ等を配慮して10名3千円、期日が詰まった無茶苦茶企画。でもこんな時、こんな贅沢な場もそうにない、「インドの山奥の修行とか、インド音楽の奥深さ、そしてミサトさんなどを語って」「わかった、アッチが適当に茶々入れて」。3時間ほどの出会いを楽しみたい、だれかきて、一緒に遊ぼう。けっこうレアな集いになりそうだ。

 東京杉並区の農業系高校の3年女子のアンリが研修で昨日来た。昨日は緑の党の企画で、作業を手伝い、「種苗法改正の話し」を俺が話すという企画だった。先週の予定が台風で延期されたので先週ならば、晩生の黒米の天日干しを手伝ってもらおうと楽しみにしていたがダメ。
今回も雨模様、ハウスの中で唐辛子の選別作業をしてもらった。ハウス内の意外な暖かさに安堵した参加者の口は非常に滑らかだった。ハサミを手に、選別を真面目に進めながら環境や政治、文化のなどが湧きあがる、元市議会議員の女性2人、現役1人、その濃い人たち。アンリは最近世界の農業の授業で学んだばかりの事が、より詳しくわかりびっくりした、とても有意義だったと帰って行った。父は奄美、母は高地の山奥育ち、東京のど真中で日本料理屋を2人でと結婚しての3女は美人で頑張り屋。バトミントンなどの部活を頑張りながら、「嫌いな子が会長に立候補するという話を聞き、その子を会長にさせないために自分が立候補して会長になった」と息をまく。とても気丈夫。父を尊敬し、母とはこの所絶交状態だとか。
 数日後ワインを仕込むから納豆はたべられないという。卒業式に親たちへプレゼントするという学校の企画だそうだ。東京にあるねいい高校。