百姓日記 帰農人

農園の長、アチが書く百姓日記

2017 7/22    もう少しつき合いたかったよ ミミ

ヤギは昼間、杭に繋がれて一日を過ごすが、時々紐が足に絡まっている。
様子を見ては、ほどいてやる。酷くすると壊死し、切断しなければならない。
友人の貧乏百姓は獣医に教わり、自分たちで皮を多く残しながら切断し、縫ったと聞く、その後そのヤギは元気で生きてたそうだ。
しかし死ぬことになるなんて考えてもいなかった。ミミは両足が絡まり、坂下に頭を向けて目を見開いていた。お腹はパンパンであった。
北海道で牛飼いをしていたチエが「牛は横になり起き上がれないとガスが溜まって死ぬの、一回あった」と、その場で教えてくれたので、納得し、すぐに穴を掘り埋葬した。
あとで調べたが第一胃のガスが抜けないと横隔膜を圧迫し窒息するそうだ。 
ミミは2年前の3月の寒い日に産まれたが、母ヤギの子宮も飛び出てしまい、次の朝亡くなり、乳も飲めず震えていたので、家の廊下で飼い、牛乳で育てた。
糞尿は所構わずのヤギ、犬用のオシメなどを試みるが、器用に逆立ちして歩きながらはずす姿はあっぱれ、その後、運河の朝市で野菜を売るようになったので、いつもミミを連れて行った、人慣れしているミミはみんなにかわいがられた。
2回出産したが人なっこさは変わらず、いつまでも一緒にいたいと初めて思ったヤギだけに心は重い。
そして何より、ミミの子クンテとEテレに出演し、みんなが見ているその時間、オラたちは穴を掘り、埋葬し、ルミが蚊取り線香を持ってきて「これでもいいですか」「充分だ」と手を合わせていた。
そして今日は朝市で多くの人からヤギとオラの演技を褒められた、野菜もいっぱい売った、でもミミの死は言えなかった。