百姓日記 帰農人

農園の長、アチが書く百姓日記

帰農人  4月6日 貝人は旅に、クルは真澄の店長に

貝人が消えた。転職してすぐに引っ越ししたらしい。
日本橋の方らしいということ以外職種も住所もわからない。あんなに毎晩のように母ちゃんと長話してたのに、ぴたっと少なくなり、転職の事も殆ど語らなかったらしい。まあ電話が通じるからなんか言ってくるまでほおっておこうということに。
日曜日に「引っ越しは終わったから」と最後の電話があったらしい。その一週間前位に「父ちゃんのをだいぶもらったから」とゴールデンバットを1カートンくれた、あれが挨拶か、いいね、クール。
困ったのはミーコ。ご主人様が急にいなくなり困ってみんなの周りをうろうろ。忙しい俺の所など絶対来なかったのに、こたつに入ったまたぐらに居座ったり腹が減ったと要求するようになる。猫の心と秋の空かい。

いつも今の机に置かれたトイレットペーパー、食事後の食器や牛乳パックなどを片付けながら「しょうがねえなあでも出たらすぐにちゃんとするんだろうな、奴のことだから」と常に思っていた。
6番目の末っ子で母ちゃんとはべったりだった。亡き父も同じ境遇、小学五年生まで乳を吸ってたという。そして結婚後は母を預かった。祖母ハナに幼いころから面倒を見てもらい、小6の時まで同じ部屋に暮らした。父はチビで喧嘩ばかりしてた。
貝人も高校の時大事件を起こした。なんか縁がある。父は高等小学校を出た後、鎌倉の八百屋の丁稚に入り、市場仕事の次に結婚をし、八百屋を立ち上げた。奴はどう転げまわるのだろう。灰皿に貝人のタバコがあった。ちょっと捨てるのにためらった。