百姓日記 帰農人

農園の長、アチが書く百姓日記

帰 農 人 2020  10/10    世界に愛は満ち溢れている

帰 農 人 2020  10/10
   世界に愛は満ち溢れている

 稲刈りも後は黒米を残すのみとなり、秋冬物のあらかたの種蒔きも終え、台風によるこの3日間の降り続く雨の日は、良い骨休みになった。
最初は帳簿の整理や車検の準備などをしていたが、そのうち、わりと飲んだくれてテレビなど観ていた。マサが見ていた昔の刑事ドラマ「ごんぞう」にハマりってたわけだが、その壮絶なラストシーンで「世界は愛に満ちあふれている」と犯人に訴えながら死のうとする内野の泥臭い演技は聖なる野蛮人、いいね。 
 フランスのニュースでは西アフリカに位置する国、マリでイスラム過激派に4年間、人質として拉致されていた75才のソフィーペトロナンさんが解放された様子を流していた。
彼女はマリの援栄養失調などに苦しむ孤児たちなどへの援助団体を立ち上げ活動していた。飛行機から降りる彼女を迎えるのは家族とマクロン大統領だ。
「何を食べたい?」という問いに「ただただ心配して手を尽くしてくれた息子に謝りたい、こうして姿をみるだけでしあわせだ」と語り、すぐにでもマリに帰り活動を続けたいと息子の腕の中で語るソフィーはマザーテレサだ。
拉致された先では毎日ちゃんと丁寧に面倒をみてもらっていたそうだ。事態を修行ととらえ、希望をあきらめず、瞑想をして日々を送ったとのこと。ムスリムに改宗したそうだ、「私の名はソフィーではなくマリアム(。アラーの庇護のもとまたあなたたちと暮らしたい」とイスラム名を名乗り、マリの人達に笑顔を送っていた。

夜には知床で「クマを叱る男」のドキュメント。知床半島には500頭以上のヒグマが生息しており、そこで長い事暮らす漁師の爺さんはヒグマの心をわかりつくしている。ちょくちょくそばまで現れるが排除しない。近寄ってくると「コラッ」と怒鳴るとクマたちは逃げていく。
その地区でのクマによる人への被害は出ていない。絶対に餌を与えてはだめだが信条、でも打ちあがったイルカの死骸などは流されないように紐をかけて、鮭が少なく飢えるクマらにさり気なく食べさせている。殺さなくても共存できる。ここにもマザーテレサがいる。
ノーベル平和賞に餓える人たちに援助を続ける世界食糧基金が受賞したとのニュースも嬉しい。 さあー寝ようと布団にもぐったら、ヨコ寝をしながらテレビを見ているマサの肩の上で猫がぐえっと吐き出しそうな嗚咽。「だめよミーコ」の声にピタリと止んだ。「猫を叱る女」がいた。