百姓日記 帰農人

農園の長、アチが書く百姓日記

帰 農 人 2020  11/29 奥多摩に ごおっーと風が吹いた

帰 農 人 2020  11/29
  奥多摩に ごおっーと風が吹いた

「変化を楽しんだら」と、アベちゃんの言葉、心に沁みた。今回の山行はこの言葉を聞くために会ったみたいだ。 
沢伝いの岩登りと急登を何とか登り終え、棒ノ折山山頂の絶景を堪能し下山を始めた時、先を行く麻実とくるみの「なんでー」と絶叫が聞こえた。くるみが最も敬愛しているアベ女史と予期せず偶然に出会ったのである。
下山後、温泉に入り飯能駅まで送る時間は天国の様だった。

以前から聞いていたが遠い先のことだと思っていた噂が急に現実味帯びてきた。ハウスを中心とする我が農園の中核部分の土地開発の話が夏ごろから急展開し始めたのだ。2,3年後に、コツコツ立てた7棟のハウスも、掘った井戸や、めぐらせた水道配管なども、糠床を作るように育んだ田畑の大部分が亡くなる現実にここ数ヶ月、心は重く沈んでいた。 

登り始めた時「気分転換になればいいね」とくるみ、気にかけてくれていた。娘二人の会話と歌声は山行中響いていた、ともかく明るいし、今朝握ってきたおにぎりと沢庵もとても美味しい。紅葉を期待していたが、12月を数日に控え葉は全て落ち、落ち葉の道になっていた。尾根を境に南は針葉樹、北は枝だけの広葉樹の景色は見事、根っこだらけの道を踏みしめるのも面白い。下山途中道を間違え、すべりやすい細道に、麻実の悲鳴が数度、これは違うと、尾根を目指してよじ登ったら山道を発見、みんなを呼んだ。
その直後アベちゃんは後ろから追いついてきた。なんともまぁ、不思議な神遊び、その後は素敵な会話が続いていた。

 こぎれいな温泉に入る。風呂に入るのは半月ぶり、靴下を脱ぐと指の間から黒いごみの塊が落ちる。そばで施設の人が必死に床拭きをしている、コロナ予防で、窓を開けたり、清掃したり、検温をしたり大変だ。見つからないように垢の塊をロッカーの隅に手で払う。股引やTシャツは裏返して着てドライヤーなるものを数年ぶりに使う。抜け毛が沢山洗面台に落ちる、やはり隣りで洗面台を清掃しているので、慌てて抜け毛を流した。

風呂後のビールを太史と飲んだ、美味かった。 
なるようになれ、焦ってもしょうがない、でも準備は怠りなく、日々を大切に擦るだけだ、肩こりよ飛べ。