百姓日記 帰農人

農園の長、アチが書く百姓日記

帰 農 人 2021  2/08 仲間の舎利が送られてくる

帰 農 人 2021  2/08
 仲間の舎利が送られてくる

 雪国は大雪やホワイトアウトなどで大変そうだが、こちらの冬は実に穏やかである。雪は積もらず霜柱もない、畑は乾燥気味で底冷えがないので、つま先カイロはいらないし外水道も何回か凍っただけだ。雨も少ないので田んぼの堆肥散布もさぁっーと片付いたし、薪も濡れないので管理が楽だ。 寒太郎も数度だけ、おかげで風通しのよすぎる我が家の暖房用の薪の消費も少ない。
でも3月の大雪や大霜はよくある、準備は大事。

 畑まわりの草がなくなる真冬は、うちのたった一匹になってしまったヤギは江戸川の土手に放牧させてきた。勿論ヒモでつないであるが、先日部落のパトロールの人が「畑から離れたたら危ない!車にも向かって来るし」と怒って苦情を言ってきたという。
ヤギを飼いだして10年位になるが初めて文句を聞いた。この部落は今バブルだ。流通倉庫の開発が進み、1反(3百坪)2千万円で買われていく。どの家も改築したり、高級車を買ったり、仕事もせずにぶらぶらしてるのもけっこういる。百姓で苦労してきた年寄たちも殆ど死に絶えたし、道に土やワラなどがあると「車が汚れる、散歩中に滑ったら危ない」などとの苦情も受けるようになった。 なんか俺たち邪魔者あつかいされ始めたみたいだ、でも心の通じる人たちもいる、状況が変わっただけだ。松戸の「無農薬研究会」の百姓たちは堆肥を散布するとすぐに苦情が来るのでなかなか「有機」は掲げられないと30年前に言ってたけど、いまだになんとか数十軒の農家かが営農を続けてるのだから、おらも我慢だね。

 安曇野美麻村の遊学舎のひとしさんが火葬された。息を引き取ってから4,5日間、「多くの仲間が遺体の前で大宴会を繰り広げていたのでコロナの感染者が出ないか、とても心配だった」と妻の聖子さんから電話があった。多くの懐かしい名前を聞いた。多くの仲間が民族楽器で弔い、穂高養生園の福田さんは聖子さんを抱き上げ「最後に抱き合え」と遺体と絡み合ったそうだ、冷たかったそうだ。
おバカなやつらで大変けっこう、みんなの写真と共に骨も少し送ってくれるという、ちょっとだけ食べて、残りの舎利は祭壇に祀ろう。