百姓日記 帰農人

農園の長、アチが書く百姓日記

帰 農 人 2021  8/16 世界に警察はいなくなった日

帰 農 人 2021  8/16
   世界に警察はいなくなった日

 お盆全部が雨など今まであっただろうか。気温も19℃、寒い。厚手の股引と靴下2枚をはいて畑に向かう。盆でも研修生が2人来るので休めない。
昨日も今日もハウスの中で玉ねぎの選別作業、けっこう腐っている。そのままにしておくと多くがダメになるので選別は大事な仕事だ。農的生活を夢見る若者たちに多くの話しもできる、これが俺の仕事。彼らは大抵オートマしか運転できないので軽トラ講習もやる。初めてクラッチ操作したタカちゃんは何度もエンストを繰り返し、下手すると土手下に突っ込む可能性もあるので直線だけで1速2速級のギアチェンジを繰り返す。リホは教習所の5万円がもったいなく、一発合格に掛けているので、すでにかなり勉強してきていて、最初から上手い。

 送り火の15日午後、降り続けた雨も弱くなり、研修生二人に玉ねぎを選別させながら、軽トラの中でゆっくりとスマホで中国の近代史を読む。民主化自由主義の大切さも勿論わかっているが、あと20年は中央集権は維持しなければ、と、天安門での数百人の死者も数十年後の中国を救うと、はっきりした指導者たちの意思が貫かれている。中国という広大な国土を統治するための歴史は5千年にもおよび、共産党という新たな王朝の統治の仕方は理解できるが、新たな領土拡大、覇権の流れまでは世界が容認できない。人や国家は力を持つと悪魔的な動きを加速させる。これには言葉の対話だけでは解決されないので、常に経済的、軍事的圧力を伴わなければならない。それでもミャンマーやアフガンの様にすり抜けて軍事掌握で国家利権をあっさりと得る事態にも世界は何もできない、というこの負の連鎖は、「アラブの春」ならぬ「世界あちこちの冬」を誘発させる。世界の警察の米国の力は完全に後退した。今後も様々な国家戦略がおこなわれれだろうが、様々な国の中で愛と平和を願う人々の日々の思いと行動が繰り返されるだろう、その流れの中にいつもいたいと思う、明日何ができるかな。それだけだ、絶望は死だ。