百姓日記 帰農人

農園の長、アチが書く百姓日記

帰 農 人 2021  10/03 虫の声と程よい寒さは哲学の

帰 農 人 2021  10/03

    虫の声と程よい寒さは哲学の

 里芋とさつま芋を先週よりせっせと掘り出した。どちらもまだ十分には太りきってはいないが、かなり多く作付してあるので野菜の少ないこの時期、日々の販売額を増やすのに、大いに助かる。里芋のデカい親芋も霜で葉茎がやられるまでは美味しく食べられる。この所の昼のみそ汁の具は親芋か指ほどの小さいさつま芋だ、チビなのに甘くておいしい。今年の夏は雨量が多かったので里芋は豊作だろう、大体まわりの畑の里芋もとてもでかいが、うちのはさらにデカく葉っぱまで手が届かない。まるで里芋の林の様だ。種芋にでかい親芋を使い、水分を減らさないように畑全部を黒いマルチで覆う、このやり方を始めてから美味しく、でかい里芋を毎年出せるようになった。ただ、親芋の保存に気を配らなくてはならない。
ちょっと目を放すと多くを腐らすことがある、今年は多くの親芋の保存に初めて成功したので、いつもより大きく切り分けて植える事が出来た。芋の肥大が続くのはあとひと月半、とても楽しみだ。
だが喜ぶことばかりではない。大失敗もある。玉ねぎは豊作であったが、乾燥保存に目を配れず、半分以上を腐らせてしまった。大打撃である、失敗の原因を色々考へ、書物なども調べてみた。幾つかやりようはありそうだ。先日玉ねぎの種を播いた、また再チャレンジの始まりだ、有機の多品目栽培は日々成功と失敗の連続だ、安住の心持ちには中々慣れない。特に今年は開発で畑が移転の可能性がでてきた話しと、初めての稲作の稲作の大失敗で今までで一番心の折れた年だ。
先日直売所の姉さんから「真澄屋さん、なんだか元気がないねー」と言われた。自分でも日々爽やかな心で過ごせていないのはわかるし、日々、さえない顔と付き合わされるマサやスタッフたちにも悪いなと思うが、立ち直るにはもうしばらくかかりそうだ。
やることは沢山あるが、再開した読書生活についのめり込んでしまう。新しき物語や歴史との出会いは涸れた心に沁み込んでいく。昨日からは安部龍太郎の「等伯」信長の頃の絵師の物語を読みだした、とてもいい。