百姓日記 帰農人

農園の長、アチが書く百姓日記

2017 8/06    霊が満ちはじめたぞ 盆だ

週末には盆が来る。田畑や道もきれいにして霊たちを迎えたいと常々意識している。
だいぶ仕事も追いつき、先が見え始めた矢先にローダーが大故障、堆肥を軽トラに積み上げる機械でこれなしでは有機は話にならん。
故障ならいいが、エンジンがお釈迦の可能性が高く、中古で探しても高く、すぐには手が出せん、借りるとか、バケット機能を他のボロトラクターに付け替えるとか、色々考えても、バタバタしてる間にお盆は過ぎてしまう、
昨夜は久々のどん底の気分、気を取り直して今日は、最悪の荒良治を刊行しようとエンジンをどんどん分解していったら、シリンダーは焼き付いていなかった、たぶん治ると確信、大喜びしたら日が落ちて畑仕事は無理、帰って溜まっていたデスクワークを片づけた。
とてもすっきり、「ぼーんよこい、ゆっくりこい」と鼻歌、感謝。
 北海道の北の山奥に「子どもの森」があり、6人の子供らが皆そこのキャンプで夏を過ごした。盆休みに麻実とマサが3日だけ遊びに。主催者の徳村夫妻(約90才)は健在、オジジは毎日厳冬期も野外の五右衛門風呂に入り沢水を浴びる。
「森」を作る頃「寿命はあと2年」と名医に宣言されたのに、森をとことん愛し、森と話し合える妖精とし生きている。
終戦を呉の予科練迎え、原爆の投下も見た。
オババは京都で「週刊土曜日」という反骨の書を出していた教授の娘、横浜で子ども文庫活動中、キャンプの大切さを知り「森」を開設、時を同じくして真澄屋も生き続けた。 何度かオジジより電話があった、
麻実と話がしたいらしい、あいつはジジイ達に好評、竹細工の尚さんもそう、良いことだ。

2017 7/29    無頼は死語なの?

梅雨は明けたが、雲が多く風もあり、夜は涼しく体にはありがたい。作業姿はいたっていい加減、下着のパンツをはかなくなり何年だろうか、
半ズボンか海水パンツもしくはステテコ一枚でもポケットがなく携帯が困る、先日マサがポケット付きを買ってくれありがたい。
地下足袋も面倒で裸足にサンダル、機械作業時には長靴、首にはひんやりタオルで鉢巻か麦わらだ。
女子たちは蚊取り線香を離さないが、もう枯れた身体には蚊もあまり来ないのでぶかぶかのランニングでOK。
朝の出荷作業などは上半身裸のままなので通り際にある無人直売所などへ野菜を並べていると、通学通勤のの人たちがぎょとしているが構わない、
服はどれも沁みついて汚いが汗臭くはないぞ。最近農業女子のファッション記事が多く、男たちも気を使っているようだ。それはそれで正しい道だ。
新しい服を買うという習慣が無い、もらいもんで済んでいる。俺は青少年の頃より「無頼」にあこがれ続け見事に汚いジジイになった
でも先日「見事なヒゲだね」褒められた。
肺がん検診の後、駐車場で整理をしていた爺さんがニコニコして近づいてきた「そのひげ何年かかったの」「半年だよ」「触ってもいい?」と引っ張られたその感触はいいもんではなかったが、褒められると嬉しいもんで、その後よく思い出す、あの爺さんは天使だ。
ともかくあとひと月の猛暑との格闘を楽しもう、野菜も多いしお祭りだ。 
だからとかく日が早く過ぎていく、朝、線香を捧げるが新しいのをおろしたのがつい最近の様な気がして、ケチって1本を半分にしてたら、「お父さんに怒られるよ」と新しい楠の線香を店からマサが。

2017 7/22    もう少しつき合いたかったよ ミミ

ヤギは昼間、杭に繋がれて一日を過ごすが、時々紐が足に絡まっている。
様子を見ては、ほどいてやる。酷くすると壊死し、切断しなければならない。
友人の貧乏百姓は獣医に教わり、自分たちで皮を多く残しながら切断し、縫ったと聞く、その後そのヤギは元気で生きてたそうだ。
しかし死ぬことになるなんて考えてもいなかった。ミミは両足が絡まり、坂下に頭を向けて目を見開いていた。お腹はパンパンであった。
北海道で牛飼いをしていたチエが「牛は横になり起き上がれないとガスが溜まって死ぬの、一回あった」と、その場で教えてくれたので、納得し、すぐに穴を掘り埋葬した。
あとで調べたが第一胃のガスが抜けないと横隔膜を圧迫し窒息するそうだ。 
ミミは2年前の3月の寒い日に産まれたが、母ヤギの子宮も飛び出てしまい、次の朝亡くなり、乳も飲めず震えていたので、家の廊下で飼い、牛乳で育てた。
糞尿は所構わずのヤギ、犬用のオシメなどを試みるが、器用に逆立ちして歩きながらはずす姿はあっぱれ、その後、運河の朝市で野菜を売るようになったので、いつもミミを連れて行った、人慣れしているミミはみんなにかわいがられた。
2回出産したが人なっこさは変わらず、いつまでも一緒にいたいと初めて思ったヤギだけに心は重い。
そして何より、ミミの子クンテとEテレに出演し、みんなが見ているその時間、オラたちは穴を掘り、埋葬し、ルミが蚊取り線香を持ってきて「これでもいいですか」「充分だ」と手を合わせていた。
そして今日は朝市で多くの人からヤギとオラの演技を褒められた、野菜もいっぱい売った、でもミミの死は言えなかった。

2017 7/15 ふんどしにネグリジェ イザナにオーラ

梅雨は無かった。5,6,7月に幾度雨が降っただろう、まさか、まさかと言っているうちに、太平洋高気圧が元気に張り出し、夏本番の陽射しが降りそそぐ、いくらなんでもいつかは梅雨らしい雨をと期待し続けれ心を早く脱ぎ変えねばならぬ緊急事態、
梅雨時は旺盛な雑草との戦いだが、カラカラの畑では、草も残してやりたいと悩む、もう仕事服は限りなく脱ぐ、ステテコや股引き一枚でやりたいのだが、買い物や直売所に行くときは、いくらなんでもと海パンをはく、あとは扇風機と生ビール、ドブと焼酎のお湯割りがあれば気持ちよく乗り切れている
家は戸も窓も全開なので蚊帳は本当にありがたい。 
今日はまた最高に暑い
新宿先のダンボール工場の一角を借り舞台に仕立てた中で、二男イザナの芝居があるというので久々に出かけた。800円の新しいサンダルを買い、汚れえないような短パンとランニングを探し出し、前日にパソコンで行き方を印刷し乗り込んだとたん、後悔した
寒いのだ、冷房が効きすぎている
ランニング姿など俺だけ、みっともないけどこれだけは必要と持っていった首掛けタオルがあたたかくて助かった。
鉄階段を登った所に30人ほどの客席があり、ステージに障子2枚、薄暗い中で森田童子が流れている、まさしく芝居小屋だ、予想のごとくそこは蒸し暑い
客では俺が最年長。ばっと芝居が始まり、ふんどしにネグリジェをまとった信長役のイザナが堂々と演技をしていた、まことに圧倒された
影武者役の百姓男もかわいくこなしていた、彼は役者だ、たいしたものだ、かっこいい姿が脳裏に焼きつけた、良き人生の一幕に感謝。

2017 6/04 出産ラッシュ でもみんな貰い手がいる

2才のミミは1日に二度目の出産、朝には産まれていたが、夕方になっても後産が終わらないので心配していた、ミミの母さんは産んだ後、子宮が出てしまい亡くなった。
次の朝、もう1匹が産まれていたが、死産であった。初めの子、キンタとクンテ、双子のオスだが、キンタは育ちが弱く、1年後に死んでしまった。 
ミミの身体が小さいからか、あまりにも濃い近親相姦が原因なのか、わからない。
栃木の壬生でいっぱいヤギを飼っている幼稚園から、イカロスとハルコを分けてもらったのだが、その時点で園長が「だいぶ血が濃くなっている」とちょっと心配していたが、「沖縄の方の小島のヤギなんてみんなそう、心配ないよ」と竹細工の民俗学者の尚さん言わ
れ、人間も含め、色んな生き物の事を考えると「よくある話じゃあないか」と納得してたが、ちょっと揺らぐ

4日の朝、今度は冬子が1匹産んだ、母体が大きいだけに赤子も大きいししっっかりしている。ぺろぺろよく尻を舐め、しっっかり子の面倒を見ている、比べて母に育てられなかったミミはどうも母らしくない。
両方とも1匹づつの子なので乳は余るだろう、少し絞ってみようかな、西土佐、四万十のマナちゃんの父はいつもヤギ乳でチャイを作っていた、との事を思い出した。少し仕事が追いついたので遊べるかな。

今週終わり2日間、NHKの撮影がある。「ふる化カフェ系 ハルさんの休日」、水曜夜11時からと日曜夜6時半からの30分番組で、主演の渡部豪太くんと地域の人たちが演じる街の紹介番組で、今度のカフェは運河の「おにわ」、俺はヤギと共に精霊役らしい、いつもの汚いかっこでいいそうだ。

2017 7/08 永さん あっという間に1年 なんだか生きてる

宇都宮までヤギを運ぶ仕事があり、久々のドライブを楽しみにしていた。ヤギ3匹を軽トラに乗せ、高速に入りしばらくして、全く嫌になった。
眠気防止や事故多発場所などをワザとガタガタにし注意を促すのだろうが、クッションが固いオンボロ軽ト
ラのハンドルンは凄い振動が来て、また色んな所が分解しまいか?と心配になる、振動と風圧でバックミラーが下がってきたので、パーキングで直して締め付けようとしたら、左がもげた。益々心配しながらの運転、とても疲れた。長距離運転には自信があり、いつもドライブを楽しんでいたが、もうだめだ、ガタガタ道恐怖症、なんだか自分の時代が終わったような感じがして、とても寂しさの中帰りは、調べて行かな
かった下道を迷いながら帰ってきた。

 ヤギの届けぬ先は「農人たち」という42歳のノブが5,6年前に開いた農園、有機の農家は宇都宮では超レア、だから幾人もの変人たち手伝ってくれて、森を畑に開墾する作業を進めている。まだ根っ子が多く残っていて草を刈れない開墾畑にヤギが必要なのだ。以前の3匹に加えて全部で6匹、でもちょっと食い尽くすには広すぎるかなと心配、でもうまくいくことを願う。 
ノブは新規就農資金を借り機械やハウスなど新品が色々揃っておりなんとも豪華、今農家を始める人たちには潤沢な補助資金があり、自治体の体制も整っており、超馬鹿げた苦労もせずに営農に専念できる。
でもやはり良い物を作って、しっかりと売りさばくことは日々苦労を重ねる。元文化のアナウンサーのひろ子が彼を支え、聖地の日々を作っている、70のノブの母もステキ、また仲間ひとつ。

2017 6/30 日本中が豊洲になるよ

数日前、軽トラのラジオが壊れてしまった。忙しい日々の中、数分であってもラジオからの情報に聞き耳をを立てている、肉体の一部がなくなったようで、その夜、慌てて買いに行く。少し高いがワイドFMが聞けるオーディオに付け替えた、
よく聞く局はTBSと文化放送だが、FMの新周波数帯でも聞けるようになった、音声の質、受信状態がとても良いそうだが、数年前までのラジオでは聞くことが出来ないのが不愉快だった。
あこがれのワイドFM、まるっきり音が違った、超ポンコツで、泥まみれの軽トラに放送局内部で聞いているような、厚みのあるしっかりした音が流れ出た、大きくしなくてもよく聞き取れるので頭が疲れないのがありがたい、ラジオ様様だ。

 昨日NHK福島局が「放射能汚染残土」問題の取材に来た、今年3月に基準が緩和され、「8000ベクレル以下」の残土はある程度遮蔽され盛り土をすれば全国どこでも埋め立てられるようになり、すでに各地にどんどん運ばれている。千葉も銚子や市原などにダンプが走っている。 流山も濃い放射能の雨が降り、農園の土も汚染され最初は「1200ベクレル」もあり、土埃での体内被曝はとても気になった、勿論子を持つ親たちの反応は凄く、芋ほりや農作業、砂場遊びなどは禁止、引っ越す家族も多かった。その5、6倍も高い放射性残土の埃が日本上で舞い上がり、埋めた所は遮蔽するから問題ないというが、豊洲市場のような土地を作りまくるようなものでは
ないか、監視体制が必要である。番組は東北地方で映されるようで、日にちは又お知らせします。