百姓日記 帰農人

農園の長、アチが書く百姓日記

帰 農 人 2020  5/24 神様は もてあそぶ

先週の寒の戻りは嬉しいかった。朝晩ストーブに薪をくめ、穏やかなぬくもりを楽しめたのはありがたかった、久々の朝10℃、三陸沖の高気圧から来る「ヤマセ」を思い出す。夏が来ると宮沢健二は泣いたんだ。俺も岩手の事ならいくらか知っている。19才の時一年間、岩手山で一年間リフトの仕事をしていたので、山地多き岩手の辛さと真面目な人たちの事をいくらか、知っている。
月に数度の休日に借りたバイクで盛岡まで遊びに行く。小岩井牧場を通り抜けて40分ほどで盛岡市内に着いたらパチンコ屋に本屋に喫茶店、名画劇場、超大物のジャズコンサート、バッティングセンターの後は冷麺。さんさ踊りの祭りの晩は先輩二人に連れられて「ハワイ」だったかな?全国チェーンの風俗店に行ったのをよく覚えてる。衝立の高いソファーでネグリジェの姉ちゃんと飲みながら話しただけだった。先輩たちは見たの、触ったのとと楽しそうだった、そういう所なら何故前もって話してくれなかったのかと、悔しかったが、でも入店料奢ってもらったんだし文句は言えないとすねた記憶だ。   でも最高に楽しかった一つは盛岡からの夜の帰り道のこと。森林をうねうね走り回ると、よくタヌキやキツネと出くわす。段々やつらの性格もわかってくる。キツネは利口でタヌキは馬鹿だ、逃げ方でわかる。生き物はいいな。

もう十日も田んぼの中に故障したトラクターがある。セルモーターの故障だ。奥の方にあるので、様々な部品を取り外すという高度な作業を水の張った田んぼの真ん中で作業するのだから中々進まない、田植え作業が優先だ。先日田植えの合間にやっと取り出せたので、「伊藤電気」の親父さんの所へ持っていくと、翌日「ちゃんと動いているよ」との報告。ドブロクやスナップエンドーたちをお礼に渡し、その後トラクターに取り付けるとやっぱりダメ、またもや持っていくと、親父さんの孫の車椅子の兄ちゃんがいた。「爺ちゃんどこかな」と聞くが話すのは難しいようだった。動かない旨を話し帰りがけに兄ちゃんに挨拶をしてたら、親父さんは兄ちゃんの病状を教えてくれた。脳性麻痺だそう。親父さんは僕の大好きな尊敬する職人の一人である。この人に会わせるために故障してくれたのかな。