百姓日記 帰農人

農園の長、アチが書く百姓日記

2018 10/27 もう少しでなくなるよ 日本

「豚コレラの為中国からのワラの輸入停止」だそうだ。牛のエサだ。
2割は輸入に頼っている。ほとんどの稲作農家にとってワラは邪魔者扱い、
分解のしにくいワラは夏の初めに発酵ガスを大量にだし稲の根っ子を痛めつける。
ガスを抜くため7月は水を幾度か抜き割れめをつける、または稲刈り後~幾度か耕し事前に土に消化させる。
化成肥料と除草剤で完全にコントロールできる現代の稲作ではワラは邪魔者扱い
乾燥したワラを機械で円筒状の形に固め、それをラッピングして管理する「ホークロップサイレージ」の機械かと効率がまだ浸透しておらず、人力の中国産の方が安いのが現状だ。
田畑はどんどん放棄されていくのに、大豆、麦、トウキビ、そしてワラ、それらの自給工場はどれも尻つぼみ、米の消費は毎年5%以上減少する中、餌の自給のエースとして年々飛躍的に増大した「飼料米」も今年は減った。
飼料米のおかげで米の在庫が減り幾分値を戻したからである。
また超低価格米が少なくなり、外米に切り替える。
または混入の飲食店や弁当屋が増え、米価の値下げ阻止政策は経済界を弱らせるとの論調も多くなり、内閣のお抱え諮問会議が飼料米補助金削減を叫び、財務省も追随する。
いつものことながら、何の責任も取らない学者ブレーンが高めの速球を投げみ、政治家と関係団体が協議し、お互いに面目を維持しながら、小荷を地獄の底へ引っ張っていく。
そこが肝心。
あまりにも急だと革命がおこるから。人も公に殺さずに、静々と亡国の道をひた走る我が国は悲しすぎる。

2018 10/20 ぴよぴよの 声添い寝する 秋の夜

「産まれましたぁ」と電話が入ったのが16日の昼過ぎ、翌日の夕方、孵化場のある東金の百姓のコジが34羽のヒヨコを届けてくれた。
数年前までは柏支店までの配送が出来たが、今は生き物の配送が出来なくなったので、丁度米を運ぶ予定があったコジに日を合わせてもらった。
それにしても予定日にしっかり孵化させるなんて相手もプロである。
「ずうっと鳴きっぱなし、うるさかったよ」とコジ。
然もありなん、産まれて丸一日水も餌も食べていないのだ。
すぐに用意してあるダンボールハウスに移す。
大きな段ボールの横をくり抜き、透明なプラシートをガムテープで留め観賞用の大きな窓を作る。そこにビニールを敷いた上に籾がらを暑く敷き、暖房用の電球をたらし、瀬戸物の水飲み場を起き、上に猫が開けられないような思い木のふたを乗せたもの、超簡単。
これでしばらくは家の中で観賞しながら育てられる。餌は米と葉っぱ、選別したくず米が丁度良い、葉っぱはか
り細かく裁断しないと食べにくそうだ。
たぶん自然では引きちぎって食うのだろう。ともかく必死に食べまくり、走り回っては寝る
寝てるのなんかお構いなくふんずけまわるので簡単には眠れない、しかしそのうちみんなで寄り添って寝る。
鶏の足はグロテスクだが、ヒヨコの薄紅色のくちばしと脚はきれいでかわいい。
2,3日目には羽が飛び出してくる。少しでも早く敏捷性を得なければ生き残られないのであろう。2つのダンボールヒヨコ箱の一つはお店に行った。スタッフ関係者たちは初めての飼育にわくわくドキドキ、
産卵は4か月後だ、育て。

2018 10/14 読書引きこもりおじんの行く末はいかに

台風で破れたハウスのビニールを朝一番でJAに注文した。
「被害を見に行き、寸報を計る」と言いだすのを「ともかくこの寸報ですぐに注文してくれ」と押し切ったのが良かった。そのビニールは10日で届いたが、数日後に注文を出したものは製造工場もパニック状態で納品に数ケ月かかるとのこと、先日張り直す時も気分が良かった。
台風被害の後はとても憂鬱で気分転換に床屋に行き、髪も髭もさっぱり落とし少しはピシッ。
若い百姓仲間から連日のように悲鳴の電話が来る。
凄く気持ちはわかる、いくらでも聞いてやるぞ、傷をなめ合うしかないよね。

明日この冬一番の餅つきをする。半年眠っていたカマドを設置し、セイロや桶などを洗いまくる。
薄暗がりの中米を研ぎながら思った、「餅つき前に髪と髭を短くするのは正解、髪の混入も無くなる」。
明日から火遊びの始まり、夏の間に集まってきた屑材木も山となり目障りだ
これらを刻み整理して行くことから正月に向けての片づけは本格化する。
春先から始めた40年ぶりの読書三昧にもブレーキをかけなければ、2週間に一度図書館で5,6冊づつ借りてきたのは多すぎた。
歴史や宗教関係がほとんどだが、完全にはまった。面白すぎる。
農業や環境、政治や援助活などの様々な会報や雑誌はだんだん溜まっていく、録画されている海外のニュースもまた。
いかんと思っても中毒患者だ。
明日は返却日、今度からは3,4冊に絞ろう、3枚ずつ借りられるCDで米朝全集も堪能した
これも搾らないといけない、ラジオも遠ざかっていた。

2018 10/07   曲がったネギは立ち上がった

綺麗な、まっ赤に唐辛子を干し切れたことがない。内側や下の方、つまり早く実のなった順に赤く熟れていく。全部が赤くなってから、株ごと切って干していたが、すでにその時は熟した赤みが陽を浴び過ぎ色あせていた。
きれいな唐辛子を取りたいなと思っていた。今年は冒険に出た。
週一くらいに見回り、熟した枝、枯れそうな枝をこまめに切っては干している。
唐辛子などなんぼにもならん、手間をかけたらおしまいや、なんぼでも大きな仕事がある、片手間で片づける仕事だと思い込んでいたが、毎年上手くいかない、悔しい。
悔しいことは百姓の日々の習い、先週の台風は凄く気をつけて予報を刻々と調べていたが、直前にはさほどの強風はないとの予報に気が抜け、何も心配はいらぬ、酒をかっくらって寝て、風で窓がガタガタ結うのも大したことないと朝仕事をしていたら、早番のユウからの定時連絡の後、「アッチさん、知ってますか今の現状を」と切り出された時、大した被害もあるはずがないと思いながら聞いていた。
「1号ハウスは上のビニールがないにもなく、他の2か所も前の方がめくれ、モロヘイヤはほとんどちじれて収穫できない」とのこと、破れたビニールは倍の15年も長持ちしたので変えようと思っていたので仕方がないが、先日までピカピカのナスが傷だらけ、ネギは曲がってはいつくばっていた
他の百姓たちも甚大な被害を口々に嘆いていた。日本中であろう。
こうゆう時はしばらく気が抜ける。唐辛子を軒下に吊るしながら、ひとつひとつやれることを日々と繰り返す。 

2018 9/29 静止する 秋よに電気 ひきぬかん 

「雨で仕事ができませんねぇ」とよく聞かれる、「雨でも雪でも、毎日収穫、ハウス内の仕事も沢山あります」と答える。
晴耕雨読」とも粋に応えたいが、安給料で週1の休みで働くような若いスタッフを抱える中で、休日の変更なんて申し訳なくて、せめて月6の休日に20万位の月収ヲ払えれば、もう少し天気にや行事に合わせて融通が付きやすいのだが、実現したいと算段し続けるが、中々。

西アフリカは資源が少ないので最貧国が多い。でもチョコの原料のカカオの栽培は盛んだ。世界のカカオの70%はアフリカ産、ほとんど加工はせず、アフリカの人たちも西欧からの輸入チョコを食べている。
農家の多くは貧しい。ゴートの若者が西欧でチョコ職人の道を学んで国に帰り、加工の技術を伝えるべくゴートの国中を飛び回っている報道をフランスの報道で観た。
ドラム缶などを加工し中に豆を入れ、たき火でぐるぐると焙煎していたり、チョコを包んだ紙を紐で結んだり、まことに機械化はされていないが、携わる人たちの収入は確実に上がり、子どもたちも学校に行け、家族たちは感謝していた。
この様な事例はアジアでもアフリカでも沢山ある。でも利権を貪る者たちに活動家たちは簡単に殺されてしまう。
ゴートの英雄は農薬を使わないように勧める。なおさら危ない。
日本でとても安く愛されているバナナは、環境汚染と低賃金労働者の農薬被ばくの中で提供され、それを告発する活動家たちの死を以前映画で見た。
現在はどうなのだろう、どんなに情報機械が発達しても。もみ消しにする悪知恵は凌駕する

2018 9/22 第9回「竹ワラ細工講座」やりますね

軽トラは3台ある。うち1台はほとんど畑用なので車検も保険もない
昭和生まれのオンボロだけど動くのでありがたく使っている。
ただラジエターに大穴があき15分も走るとオーバーヒート寸前になるのが厄介。
産休明けでキノちゃんが復帰したので新しいのを買った。車検もなく整備もしてない古い物なら10万位で買える。
それでも2,3万キロくらいしか走ってない物を選べば、後は自分で整備して何とか使える。まだ書類も来てないので車検にもいけないしナンバーもない。
前の軽トラのナンバーを取り付け畑まで移動中ウインカーがつかないことが判明、手で合図を出しながら何とか運んだ。
ヒューズを取り替えたら治った。ラジオもダメだと言われていたが、ボンボン叩いているうちに治った。
ハザードスイッチもおかしかったがガチャガチャやってたら治った。
長い間使われていなかったのだろう。新3号よろしくね。

この所余裕がなかったので新しいコッコを入れてないのでどんどん少なくなってきて、とうとう3羽になってしまった。
最近タヌキも出ないので放し飼いにしていたら少なくなってきた。白ネコだ、この所よく見かける。
慌てて小屋から出さなくした。来週中にはヒナを30羽位注文しよう。
小屋も直さなくては、しばらくは家の中のダンボール小屋でピヨピヨかわいい姿を堪能できる。
来たら知らせます。見に来てください。

ことしも11月に恒例の「竹ワラ細工講座」を開きます。今年で9回目になります。チラシを添付しますのでSNS等で少しでも多くの人に広報していたきたくお願いします。

2018 9/15 日本中ふわふわ

98%の稲刈りを終えた。草が多くコンバインでは刈り取れない部分が少し残る。
あとはバインダーで刈り天日で干すのみ、やっと軽トラに積んだグレインコンテナ(籾を運び、モーター付きでホースを繋ぎ乾燥機に張り込む大変便利な機械)を半月ぶりに降ろしたらどっと疲れが出て、収穫や直売所の仕事以外はこの2日間ゴロンとして本ばかり読んでいる。
6月初めの梅雨明けと猛暑で稲の生育はひねくれ熟しきれない青米が多く、10%位の減収である。
みんなさえない顔をしている。計算してみたら店や糀用、自家米も足りなさそうなので降ろし店舗への販売を急きょ中止した、情けない話である。 

今年は種まきに大失敗をした、今までで一番少ない人数でやっていたので種撒きの調整を監視する人がおらず、極端に本数の足らない薄い箱苗が多く、何とか調整しながら田植えをしても、補植しても全体的に苗数の薄い田んぼが多かった。
粗植にすれば1株が大きく育ち、かえって増収するという技術もあり、それを期待したが、猛暑のせいかどうかは解らないがダメだった。
でもできるだけ粗食の方向で稲を育てたい方向はこれからも続けていくよ。

稲刈中田んぼを移動してコンテナ軽トラを取りに行くのに田んぼの中を随分歩く
気がついたのは除草剤を使っている畦はもろい
草の根が張っていないからだ。日本では毎年除草剤の販売量が2,3割急増し続けている。
地すべりの原因にはならないだろうが、水系への流亡は激増するだろう、影響は想像できないが、日本全体の足元が日々軟弱化捨ている危機感を強く感じる。
今の敵は原発より除草剤や。