百姓日記 帰農人

農園の長、アチが書く百姓日記

帰農人  2023 6 /26  二つのサイフの物語

帰農人    2023 6 /26
  二つのサイフの物語

 「お財布 預かっています」と電話番号を書いた紙を貼ってから、もう十日以上たつ。かわいい巾着袋に1万二千円と小銭が、自分たちだったら必死で探すべ、うちにお客さんなら一週間以内にまたくるべと考えていたが、そろそろ、交番にでも届けたほうがわかるかななんて思っていた矢先の数日前、電話がかかってきたが、表示は「公衆電話」あっ、隣の郵便局前からだ、すぐに切れた、携帯にかけると10円で1分も、もたんのだ。婆さんが焦っているのがわかる、3回目に「玄関開けたら、ビールのタンク、アルミ製のがあるから、その下に財布があります、誰もいません、玄関は空きます」と伝えることができた。これで一件落着と思いきや、数時間後、老女の息子と思われる男性から電話、「見つけられなくて帰ってきたので、今また車で向かっている」とのこと、また「おくの味噌の樽とかではないですよね」とおかしなことを言う、まさか、マサが空き樽をかたずけてしまったかな?と確認すると、かたずけたよ、財布はダンボールと毛布の間だって、すぐに電話をかけなおし、この件は幕が下りた。小遣い千円をもらったよ。  でもその日、もう一つの無人直売所に財布の忘れ物があった、隣に住む大家さんが知らせてきた「私たち財布の中身も見られないからどうしましょ」とのこと、「この前もありました、確認し、メッセージを書いた紙を明日張り出しておきますから、見えないところに財布を「じゃ、ここに」と、夕方片付けに行き財布を発券、薄く大きな水色の角型の財布の中にはTポイントカードとレシートが一枚、翌朝財布を野菜棚の上に置き、「忘れ物です、現金は入ってません」と書いた紙を張り付けた。これもまだ持ち主が現れない、今日で三日目、なんか生生しいので早くどかしたいのだが、もう少し我慢。

 田んぼで除草機の「アメンボ号」を動かしていたら、深みにはまり、軽トラで引っ張ってあげている時、バランスが崩れ、田んぼに腹を出して反転してしまった。いつでも飛び降りることができるように気を配ばりながらの運転はまるでロデオかサーカス、ともかく下敷きになったら死ぬのだ。慎重によけたが、田んぼに片尻をついた、良かった、とすぐに救出っ作業、うまい箇所にロープを軽トラで引っ張るだけだ、アキが軽トラで引っ張る、見事元どおり、アキとはこんな作業を数十回こなしてきたので、うまくなった、それがうれしかった。
  二つのサイフの物語

 「お財布 預かっています」と電話番号を書いた紙を貼ってから、もう十日以上たつ。かわいい巾着袋に1万二千円と小銭が、自分たちだったら必死で探すべ、うちにお客さんなら一週間以内にまたくるべと考えていたが、そろそろ、交番にでも届けたほうがわかるかななんて思っていた矢先の数日前、電話がかかってきたが、表示は「公衆電話」あっ、隣の郵便局前からだ、すぐに切れた、携帯にかけると10円で1分も、もたんのだ。婆さんが焦っているのがわかる、3回目に「玄関開けたら、ビールのタンク、アルミ製のがあるから、その下に財布があります、誰もいません、玄関は空きます」と伝えることができた。これで一件落着と思いきや、数時間後、老女の息子と思われる男性から電話、「見つけられなくて帰ってきたので、今また車で向かっている」とのこと、また「おくの味噌の樽とかではないですよね」とおかしなことを言う、まさか、マサが空き樽をかたずけてしまったかな?と確認すると、かたずけたよ、財布はダンボールと毛布の間だって、すぐに電話をかけなおし、この件は幕が下りた。小遣い千円をもらったよ。  でもその日、もう一つの無人直売所に財布の忘れ物があった、隣に住む大家さんが知らせてきた「私たち財布の中身も見られないからどうしましょ」とのこと、「この前もありました、確認し、メッセージを書いた紙を明日張り出しておきますから、見えないところに財布を「じゃ、ここに」と、夕方片付けに行き財布を発券、薄く大きな水色の角型の財布の中にはTポイントカードとレシートが一枚、翌朝財布を野菜棚の上に置き、「忘れ物です、現金は入ってません」と書いた紙を張り付けた。これもまだ持ち主が現れない、今日で三日目、なんか生生しいので早くどかしたいのだが、もう少し我慢。

 田んぼで除草機の「アメンボ号」を動かしていたら、深みにはまり、軽トラで引っ張ってあげている時、バランスが崩れ、田んぼに腹を出して反転してしまった。いつでも飛び降りることができるように気を配ばりながらの運転はまるでロデオかサーカス、ともかく下敷きになったら死ぬのだ。慎重によけたが、田んぼに片尻をついた、良かった、とすぐに救出っ作業、うまい箇所にロープを軽トラで引っ張るだけだ、アキが軽トラで引っ張る、見事元どおり、アキとはこんな作業を数十回こなしてきたので、うまくなった、それがうれしかった。